日向神社(園部町瓜生野)
園部町瓜生野の日向神社です。祭神は天照皇大御神。『船井郡神社誌』には「天授三年勧請産土神とす」と記載されています。天授三年は西暦1377年ですので、古くからこの地に祀られていたことがわかります。江戸時代に書かれた『寺社類集』にも、「瓜生野村 産土日向大明神」と記載されており、今でも瓜生野地区の鎮守社として変わらず崇敬されています。
祭神からすると伊勢神宮からの勧請ということになるのでしょうか。勧請の経緯など詳しいことはわかりませんが、伊勢信仰の広がりとともに勧請されたのなら、社名は「神明神社」や「太神宮」といった名称になっていたような気がします。日向は「ヒ・ムカ」で「日当たりのよい土地」を指し、日本の各地に見られる地名です。日向を冠する神社も式内社を始めとして古くからありますが、いずれも太陽信仰に由来する神社のようです。京都山科にも「京のお伊勢さん」と称される日向大神宮が鎮座しています。鎮座地の瓜生野は南北に袋状に広がった谷間の小平地ですが、集落のある辺りは三方を山並みに囲まれ、東側が開けた地形になっていて、日向神社も朝日の昇る東に面して建てられています。瓜生野の日向神社については、他の日向神社から勧請されたものとも考えられますが、素朴な日神祭祀に基づく神社として創祀当初からこの地に祀られていたような気がしています。記録が残っていたいため日向神社の創祀がどのくらいまで遡れるのかは不明ですが、瓜生野の周囲の山裾には現在の集落をとり囲むように古墳が築かれており、日当たりのよい山間の穏やかな小平地は古代の人々にとっても住みやすい土地だったものと推察されます。
神社の鳥居をくぐり、石段を登った先には木漏れ日の射しこむ雰囲気の良い境内地。天満宮・八幡宮・春日神社・塞神社・白山姫神社・宇賀魂神社・八坂神社・大國玉神社の八社相殿の境内社、大山咋神社・西宮神社・金比羅神社・愛宕神社の四社相殿の境内社が祀られていました。覆屋内にはいつの時代のものか小さな可愛い狛犬が置かれておりました。
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