大森神社(園部町半田)

園部町半田の大森神社

 

 園部町半田の大森神社です。祭神は味耜高彦根命。 江戸時代の書物である『寺社類集』に「東半田村 産神 大森大明神」とあり、昔から半田地区の鎮守として祀られていました。『船井郡神社誌』には、「古来摩気神社の氏子であったが、延宝三年(1675年)に本社を創祀して氏神とした。また伝えて摩気神社の分霊を祀るという」とあります。摩気神社の氏子圏には「もともと摩気神社の直氏子であり、その後それぞれに氏神を奉祀した」と伝わる神社が多くあります。当社の創祀は江戸時代と少し時代が下りますが、その時はじめて勧請されたのではなく、それ以前より地縁あるいは同族で祀っていた前身となる神社や小祠のようなものは存在していたのではないでしょうか。 『寺社類集』 の摩気神社 西末社の項には「大森宮 半田村」「天神宮 半田村」と記載されており、半田村より二社が勧請されています。この天神社と同じものであるかどうかはわかりませんが、現在、大森神社の本殿向かって右側に天満宮が併祀されています。

 大森神社には通称「ワードンドン」という祈年祭が伝わっています。『園部町史通史編 図説 園部の歴史』に詳しいので以下に抜粋します。

『宮司が「神寿の祝詞」を奏し終わったあと、拝殿の周囲に集まった氏子達が各自持参した榊の木を床にたてて並ぶ。宮司は神前の三宝に盛った散米を端から右回りで順にこれらの木にふりかけて廻る。この時、氏子一同は一斉に榊の木で床を激しく「ドン・ドン…」と打ちたたきながら「ワーッ・ワーッ…」と声をあげる。この声と床を打ち鳴らす音から、この祭りは「ワードンドン」と呼ばれるのである。この行為は「霊呼び」で、眠っている大地に春をよみがえらせる呪術的宗儀である。宮司がすべての榊に散米をふりかけ終ると、氏子達は、まかれた米をかき集めて懐紙に包んで「奉祈禱五穀成就神璽」と書かれた神符と一緒に榊に結びつける。そして、氏子たちはその榊をもち帰り、それぞれの苗代床の水田の水口に立て五穀豊穣を祈るのである。この榊の木は呪い棒のことで、ヨメタタキ棒とかハラメ棒などと呼ばれており、自然の生産を模倣することで大地が豊作になるという願いを込めて行われるわけである』

 集落から少し離れた田んぼの中に鎮座しています。田植えを終えたばかりの水田が水鏡のように周囲の山並みをうつしていました。境内には宇加魂尊・白太夫神社・塩竃神社・塞神社・八幡宮社・稲荷神社の六社相殿の小祠。かつては宮寺として九品寺末の大森山松林寺があったようです。

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大森神社の鳥居と長い参道
大森神社の鳥居と長い参道
 
大森神社の扁額
神社扁額
 
神社拝殿と本殿覆屋
明るい境内 拝殿と本殿覆屋
 
大森神社の狛犬
狛犬
 
狛犬の表情
にかっと笑う
 
大森神社本殿
大森神社本殿 右側は天満宮
 
本殿両脇に可愛い狛犬
本殿両脇に可愛い狛犬
 
六社相殿の境内社
六社相殿の境内社
 
周囲には水田が広がる
周囲には水田が広がる
 

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