春崎稲荷神社(園部町小桜町)
園部町小桜町の春崎稲荷神社です。 創祀や由緒については不明ですが、鎮座地のある小麦山一帯は江戸時代には園部城の城郭内となっていましたので、もともと城内に祀られていたものか、あるいは、明治以降になって地元の方々によって創建されたものと思われます。境内には時代のわかるものとして、大正10年の手水鉢、大正11年奉献の石鳥居(訓導 園部新町 横田たみ)があります。参道に並ぶ鳥居は平成13年に奉納されたもので、宮町や美園町の商店や事務所の名前が記載されていました。
当社との関係は不明ですが、鎮座地の小麦山は生身天満宮の神体山であったことが知られています。江戸時代に小出氏が入部し、小麦山一帯に園部城を築城した際に現在地の天神山々麓に遷座されましたが、生身天満宮の旧社地は小麦山の山麓、現在の園部公園内にあったようで、江戸時代に記された『寺社類集』には、往古は天神の森と呼ばれる場所に鎮座し、それは園部郭内に有り、と記されています。小麦山は現在ではかつて園部城のあった史跡として、また、園部公園の一部として親しまれていますが、古くは神霊の降臨する神体山として認識・信仰されていたものと思われます。
園部城址に整備された園部公園の一角、小麦山の山腹に鎮座しています。木漏れ日の射す森の中にあって、境内は市内の喧騒を離れた厳かな雰囲気に包まれています。本殿小祠の脇には境内社として岩波稲荷大神が祀られていました。境内社の祠内には真新しい伏見稲荷大社の神璽が納められており、現在も変わらず信仰されているようです。