稲荷神社(園部町口人)
園部町口人の稲荷神社です。祭神は宇賀魂命。『船井郡神社誌』には、「創祀の年代は不詳で、当鎮座地の住人 西田氏の一族により祀られたものと思われる」と記載されています。実際に園部の口人から口司にかけては西田姓が多くみられる土地です。「村の鎮守の神様の~♪」と唱歌にもうたわれていますが、村全体で奉斎する鎮守クラスの大きな神社の他にも、園部ではもう少し小さな集団、例えば当社のような同族集団で祀っている小祠も数多く存在しています。もちろんこれは園部に限った話ではなく、各家々で屋敷神を祀り、同族・地縁組織で共通の小祠を祀り、様々な講があり、村全体では鎮守の神社を祀り、更に大きな地域単位で総鎮守を祀る、といったことは全国的にも見られます。現在ではそうした小さな祭祀は衰退しつつあるようにも思いますが、地域の神社を訪ね歩いてみると民俗信仰というものは非常に多様で重層的であることに改めて気づかされます。そうした小さなお社は地図にも記載されていないことが多いのですが、本社に関しては旧無格社の神社として京都府神社庁の神社一覧にもその名が記載されています。
園部市街地から新世紀第一トンネルを過ぎた出口付近、口人字ハリタの集落の裏山に鎮座しています。木漏れ日の落ちる森の中、小さな石段を登った先に立派なお社が建っています。社前の赤い鳥居は国道沿いからもよく目立ちます。