稲荷神社①(園部町新堂)
園部町新堂の稲荷神社です。正福寺というお寺の裏手の山腹に鎮座しています。鳥居には「奉納 平成二十二年 総代」とありました。地区の方々によって祀られているものと思われます。
正福寺は山号を「山王山」と称しているように、かつては新堂村鎮守の山王大権現(現 日吉神社)の宮寺としてその祭祀を執り行っていました。お寺の境内には無明地蔵尊というお地蔵様が祀られています。園部町文化財調査報告書『石造物調査』には以下のような縁起が記されています。
「正福寺の住職高木俊雄氏の若き頃の日夜の深刻な悩みは、多くの国民の命をうばった戦争は終わったが、原爆による不幸な死亡者は後をたたないことと、人工妊娠中絶によって葬り去られる胎児は年間150万人以上に達すること、これを悲しみ泣き明かす父母のあること、を如何に救っていくかということであった。昭和34年1月24日午前2時、本堂仏前において合掌祈念の時、心中にふと「子供の好きな地蔵さん」と浮かんだ刹那、地蔵菩薩が姿をあらわされた。これによって、師は地蔵菩薩勧請の大願を樹立された。実現の方途として、「千人講」の創設を発願し、町長野中広務氏の援助を得て托鉢の苦行をなされ、浄財をあつめ、昭和34年8月24日「無明地蔵菩薩開眼法要」が営まれ、「無明地蔵菩薩」の誕生となった。」